「言い訳」と「理由の説明」の間にあるもの

「言い訳グセはなかなか後から直らないみたいだから仕方ないよ」と上司に言われた。

 

アルバイトを指導したりする立場なわけだが、最近悩みのタネとなっている子がいて、結局やめることになっちゃったんだけど、振り返りとして書き残しておきたい。

 

その子のスペックとしては

  • 大学3年生
  • 非常に真面目 大学の講義は一番前で聞くことも多い
  • 将来はWebエンジニアになりたい(例えとしてインフラエンジニアを志望していることにする)
  • 都内実家、たぶん裕福
  • 話はうまい方

といった感じで面接の時も好感だった。

アルバイトを探している理由は「将来の目標になるためには開発経験が少ないから。」

だったらインフラ周りを業務で扱っている企業を探したほうがいいんじゃないの?と聞くも「まだ自分には全般的な開発の知識も経験もないからやってみたい」ということだった。

 

最初は真面目に取り組んでいて問題を感じなかったが、ある時やるべきことをやっていなかったので理由を聞いたら「でも〜」と言った形で反論があった。反論はウェルカム。間違ってないと思うなら言ったらいいよ。「でも〜○○がこういう状況だったんでできなかったんです」という。一見論理的には通っているように見える。

 

こちらからすると

ただ、別にあなたが一歩踏み込んでやろうとすればそれはできたよね?

という感じの状況。

 

何か理由を見つけて逃げ腰になっている自分を正当化しようとしていることを感じた。そのときに、結局はやるのが怖くて、勇気がなかったんだよね?という話をして納得してもらえたようだった。

 

このときは逃げ腰になりやすいんだな、くらいに思っていたが、結局退職するまで治らなかった。どうすればよかったんだろう。本人は言い訳を言い訳と思っていない。理由を説明していると思っている。

しかし、こちらからするとできなかった理由に対して、対案もあるわけだから出来なかったことに対して納得感がない。故に言い訳をしているように感じてしまう。

 

で、言い訳グセを持つ人に言い訳グセがあると言っても伝わらないところが難しいところだ。

 

なぜなら「言い訳」という言葉自体の捉え方が違うから。上司の方から言う「言い訳」は割と上司に都合よく意味が変わったりする。

 

「言い訳」の意味を辞書で引いてみる。

 

出典:デジタル大辞泉(小学館)

[名](スル)
  1.  そうせざるをえなかった事情を説明して、了解を求めること。弁解。弁明。「遅刻の言い訳」「いまさら言い訳してもおそい」

  1.  (言い分け)言葉を別々の意味に分けて使うこと。

  1.  物事の筋道を説明すること。解説。

  1.  過失・罪などをわびること。謝罪。

 

言い訳自体の意味には「自分を正当化する」とか、「後ろめたいことを隠してその場しのぎの弁明をする」といった意味は辞書にないのだ。(これから変わるかもしれないし変わるべきだと思うけど)

 

辞書的には言い訳 = 説明すること

ビジネス的には言い訳 = 自分を正当化しようとすること

 

だと思っている。

 

だからまだ信用がない、若い子が「電車遅延で遅れました」と言って「言い訳するんじゃねぇ〜ボケ」みたいなクソやり取りがあったとして、それは言い訳の誤用だと思う。電車遅延は正当な遅刻の理由なので。「言い訳するんじゃねぇ」が成立するとしたら実際には寝坊で遅刻してた場合。

 

自分は過去にちゃんと理由を説明しているつもりだったが、上司が気に食わなかったのか「言い訳するんじゃねぇ」と言われたのが未だに思い出すとイライラするので再生産はしたくないと思う。

 

自分を正当化しようと説明することは「自己欺瞞」と呼ぶが、この言葉がもうちょっと一般化してくれたら、言い訳グセではなく自己欺瞞グセと呼べるからそうなるといいかな。